別所砂留(土木学会選奨土木遺産)
砂留とは
山間部の渓流等において、強固な石積による堰堤等を設置し、降雨時の土砂流出を防止し、災害を未然に防ぐことを目的とする土木構造物で、古くは『砂留』と呼ばれました。
現代ではコンクリート製の砂防堰堤等が整備されるのが通常ですが、別所砂留をはじめ歴史的な土木遺産である「砂留」は、現代でも一定の機能を果たしていることから、その維持管理は現代的な重要課題でもあるといえます。
別所砂留とは
別所砂留は江戸時代に築造(普請)された一群の石積みによる砂防施設です。
芦田町別所の谷筋約1 km、標高差約200mの区域に大規模な砂留14か所、小規模なもの22か所が確認されています。
一つの渓流に合計36基もの砂留が良好な状態で現存していることは全国的にも希少なもので、この歴史的遺産を守り、次世代に伝えることは、地域の住民、ひいては福山市民に求められる使命といえます。
別所砂留の歴史
地元の古老が語る13の砂留の存在を確認しようと、地元の有志による取組みが2009年からスタートしました。奥深い別所の谷から現れたのは、13基を大きく上回る36基の石積砂留でした。
地元の國頭家に伝わる古文書には、当地、福田村の山林荒廃の実態が記述され(亨保7年[1722])、後の明和元年[1764]の文書には、13基の砂留の存在とその維持管理方式が記載されていることから、1700年代中盤に砂留普請が実施されたものと考えられます。
所在地 広島県福山市芦田町福田
別所砂留の見どころ
「近世以前の土木・産業遺産」の評価によると、【江戸期の砂留の中で最も高い堰堤、堰堤の天端が緩やかなアーチ状、堰堤のほぼ全幅が越流部になっていて、自然の勾配に沿って石が敷かれている】と記載があり、高く評価されています。
上 10番砂留 下 9番砂留 |
守る会からのメッセージ
別所砂留の整備は、四季折々(春の桜・秋の紅葉)の自然の中での草刈り、砂留の石組みの土砂の除去作業等、個人のできる範囲での簡単な作業です。
服装は長袖・長ズボン・長靴・軍手で、飲料は各自持参してください。
作業の達成感がありますので、一度体験してみてください。
活動日や作業内容など福田公民館にお問い合わせください。
「別所砂留を守る会」のパンフレットより
別所砂留を守る会
広島県福山市芦田町福田2479−12
福山市立福田公民館内
TEL 084−958−3850